第6章 WEBプログラミング

WEBプログラミングとは

WEBプログラミングは、WEBブラウザやWEBサーバー上で動作するプログラムやアプリケーションを作成するプログラミングの分野です。WEBプログラミングは通常、フロントエンドとバックエンドの2つの側面に分けられます。

  1. フロントエンド(クライアントサイド)プログラミングは、ユーザーが直接対話するWEBページのデザインや機能を担当します。主な技術としてはHTML、CSS、JavaScriptなどがあります。
  2. バックエンド(サーバーサイド)プログラミングは、サーバーとデータベースの管理、アプリケーションのロジック、データ処理などを担当します。主な技術としてはPython、Ruby、Java、PHP、Node.js、データベース技術(SQLなど)などがあります。


歴史

WEBプログラミングの起源は1990年代初頭、WEBが一般的になり始めた時期に遡ります。WEBの父とも呼ばれるティム・バーナーズ=リーによってWWW(World Wide Web)が創出され、WEBページの作成に使われる基本的な言語であるHTMLが生まれました。その後、WEBサイトに動的な要素を追加するための技術としてJavaScriptやCSSが開発されました。

1990年代後半には、サーバーサイドのプログラミング言語(Perl、PHP、Javaなど)やデータベース技術(SQL)が普及し、より複雑なWEBアプリケーションの作成が可能になりました。2000年代に入ると、Ajaxという技術が登場し、WEBページをリロードすることなくサーバーと通信できるようになり、よりリッチなユーザー体験が可能になりました。

近年では、WEBアプリケーションフレームワーク(Django、Ruby on Rails、Express.jsなど)やフロントエンドライブラリ・フレームワーク(React.js、Angular.js、Vue.jsなど)が登場し、WEBアプリケーションの開発がより効率的かつ簡易になっています。


他のプログラミングとの違い

WEBプログラミングは、他のプログラミング(例えばデスクトップアプリケーションプログラミングやモバイルアプリケーションプログラミング)とは異なる特徴を持っています。WEBプログラミングは通常、ネットワーク(インターネット)を介して実行され、ユーザーが直接インストールしないアプリケーションを提供します。これに対して、デスクトップやモバイルアプリケーションはユーザーのデバイスに直接インストールされ、オフラインでも動作します。

また、WEBプログラミングは、ユーザーインターフェースの作成にHTML、CSS、JavaScriptといったWEB専用の言語を用いることが一般的です。これに対して、デスクトップアプリケーションやモバイルアプリケーションでは、それぞれのプラットフォームに特化したツールや言語(例えばWindowsではC#と.NET Framework、iOSではSwiftとCocoa)を使用します。


特徴

WEBプログラミングの特徴は以下のようにまとめられます

  1. WEBアプリケーションはどのデバイスからでもアクセス可能であり、ユーザーは特別なソフトウェアをインストールする必要がありません。
  2. WEBアプリケーションはクライアントサーバーモデルに基づいて動作し、通常はHTTPというプロトコルを通じて通信します。
  3. WEBプログラミングは多種多様な技術とプラットフォーム(HTML、CSS、JavaScript、Python、Ruby、Java、PHP、Node.js、SQL、NoSQL、Apache、Nginxなど)を組み合わせて使用します。
  4. WEBプログラミングでは、ユーザーエクスペリエンス、パフォーマンス、セキュリティ、スケーラビリティ、データ管理などの要素を考慮する必要があります。

用途

WEBプログラミングは以下のような多様な用途に利用されています

  1. WEBサイトの作成:企業のWEBサイト、ニュースサイト、ブログ、オンライン教育サイトなど。
  2. WEBアプリケーションの開発:ソーシャルメディアプラットフォーム(Facebook、Twitterなど)、Eコマースサイト(Amazon、eBayなど)、オンラインゲーム、クラウドベースのオフィスツール(Google Docs、Microsoft 365など)。
  3. APIの開発:他のアプリケーションからWEBサービスを利用するためのAPI。

代表的な技術

  1. HTML(HyperText Markup Language):WEBページの構造を記述するためのマークアップ言語です。タイトル、ヘッダー、パラグラフ、リンク、画像などのWEBページの要素を定義します。
  2. CSS(Cascading Style Sheets):WEBページの見た目やスタイリングを制御するためのスタイルシート言語です。色、フォント、レイアウトなどを定義します。
  3. JavaScript:WEBページに動的な機能を追加するためのプログラミング言語です。フォームのバリデーション、ユーザーインタラクション、動的なコンテンツの表示などを実現します。
  4. Python / Ruby / PHP / Java / Node.js:これらはバックエンド開発で使用される一部の主要なプログラミング言語です。これらの言語は、サーバーサイドのロジックを処理し、データベースとの通信を行います。
  5. SQL / NoSQL:これらはデータベース管理システムです。SQL(Structured Query Language)は、リレーショナルデータベース(MySQL、PostgreSQLなど)でデータを操作するための言語です。一方、NoSQLデータベース(MongoDB、Cassandraなど)は非リレーショナルで、大量のデータを効率的に処理することができます。
  6. React.js / Angular / Vue.js:これらはフロントエンド開発で使用されるJavaScriptフレームワークまたはライブラリです。これらを使用すると、複雑なユーザーインターフェースを効率的に構築できます。
  7. Express.js / Django / Ruby on Rails:これらはバックエンド開発で使用されるフレームワークです。これらを使用すると、ルーティング、セッション管理、テンプレートエンジンなどの機能を簡単に実装できます。
  8. HTTP (HyperText Transfer Protocol):WEBブラウザとWEBサーバー間でデータを送受信するためのプロトコルです。
  9. REST (Representational State Transfer):WEBサービスの設計を指導するためのアーキテクチャスタイルです。HTTPメソッド(GET、POST、PUT、DELETEなど)を用いてリソースを操作します。
  10. Bootstrap / Tailwind CSS:これらはCSSフレームワークで、WEBページのデザインを迅速かつ容易にするためのクラスやコンポーネントを提供します。
  11. Webpack / Babel:これらはモダンなJavaScript開発のツールです。モジュールバンドリング、トランスパイリング(新しいJavaScriptの構文を古いバージョンに変換)などのタスクを行います。