第1章 JavaScriptとは何か

概要

JavaScriptは、ウェブブラウザ内で動作するスクリプト言語です。ウェブページに対して動的な機能を提供し、ユーザーとの対話性を強化します。HTMLがウェブページの構造を定義し、CSSがその見た目を整えるのに対し、JavaScriptはページに動きを与えます。例えば、ユーザーの入力に反応して情報を変更したり、ユーザーがクリックしたときにポップアップメッセージを表示したりします。


歴史

JavaScriptは1995年にNetscape Communications CorporationのBrendan Eichによって開発されました。当時はウェブブラウザNetscape Navigator内で動作するための言語として設計され、元々はMochaという名前でしたが、後にLiveScriptに改名され、最終的にJavaScriptになりました。JavaScriptという名前は、当時流行していたJava言語の名声を利用したものであり、両者は全く異なる言語です。

JavaScriptが開発された初期の目的は、ウェブページをより対話的でユーザーフレンドリーにすることでした。しかしながら、その能力は当時は限定的で、主にフォームの検証や単純なアニメーションなどに使われていました。

1997年、JavaScriptはEcma Internationalによって標準化され、このときからECMAScriptと呼ばれるようになりました。現在JavaScriptと呼ばれているものは、ECMAScript標準に基づく一連の実装です。

その後、JavaScriptは急速に進化しました。2000年代初頭には、Ajaxと呼ばれる技術が登場し、ウェブページがサーバーと非同期通信を行い、ページ全体をリロードせずに部分的な更新を行うことが可能になりました。これにより、より高度なユーザー体験を提供するウェブアプリケーションが作成可能となりました。

2009年には、Ryan DahlによってNode.jsが開発され、JavaScriptをブラウザの外部、特にサーバーサイドで使えるようになりました。これにより、JavaScriptはフルスタックの開発言語となり、データベースからフロントエンドまで、ウェブアプリケーションの全てを一つの言語で開発することが可能になりました。


特性

JavaScriptは動的に型が決定される動的型付け言語で、変数の型が実行時に決定されます。これにより、JavaScriptは柔軟性がありますが、型に関するエラーが起きやすいというデメリットもあります。

JavaScriptはオブジェクト指向プログラミングをサポートしており、クラスベースの継承だけでなく、プロトタイプベースの継承もサポートしています。これはJavaScriptが他の多くのプログラミング言語と異なる点です。

また、JavaScriptはイベント駆動型のプログラミング言語でもあります。これは、特定のアクション(クリック、キープレスなど)や状態変化(ページロード完了、タイマーの経過など)が発生すると、関連するコードが自動的に実行されるという意味です。

JavaScriptは非同期プログラミングをサポートしており、特にPromiseとasync/awaitの概念を用いた非同期処理が一般的です。これにより、時間のかかる操作(APIからのデータフェッチなど)を行うときに、その完了を待つことなく他の操作を続けることができます。


用途

JavaScriptはもともとウェブブラウザ内で動作する言語として開発されましたが、現在ではその用途は大きく広がっています。

フロントエンド開発: JavaScriptは、ウェブページに対して動的な振る舞いを追加する主要なツールです。ユーザーとのインタラクションを処理したり、DOMを操作してページの見た目を動的に変更したりします。React、Angular、Vue.jsなどのフロントエンドフレームワークもJavaScriptで書かれています。

サーバーサイド開発: Node.jsの登場により、JavaScriptはサーバーサイドでの開発にも使用できるようになりました。これにより、データベースの操作、ファイルの読み書き、クライアントからのリクエストの処理などをJavaScriptで行うことができます。

モバイルアプリ開発: React NativeやIonicなどのフレームワークを使用することで、JavaScriptを用いてモバイルアプリケーションを開発することができます。

デスクトップアプリ開発: ElectronやNW.jsなどのフレームワークを使用することで、JavaScriptでデスクトップアプリケーションを開発することができます。

ゲーム開発: PhaserやThree.jsなどのライブラリを使用することで、JavaScriptでブラウザ上で動作するゲームを開発することができます。

IoT(Internet of Things): JavaScriptをサポートするハードウェアが増えてきており、物理的なデバイスの制御にもJavaScriptを使用することができます。

これらは、JavaScriptの可能性を示す一部の例に過ぎません。JavaScriptの進化とともに、その用途は日々拡大しています。


まとめ

JavaScriptは、ウェブページに対する動的な振る舞いを追加するための言語として生まれましたが、その後急速に進化し、現在では様々なプラットフォームで幅広く利用されています。その柔軟性、能力、そしてコミュニティの活発さから、今後も多くの開発者に愛され続けることでしょう。

JavaScriptを学ぶことは、現代のウェブ開発、アプリ開発、さらにはモダンなソフトウェア開発全般において非常に価値があります。その学習を始めるには絶好の時期です。